カラシン科(Characidae)−カージナル・テトラ

カージナルテトラ
カージナルテトラ

和名:カージナル・テトラ
英明:Cardinal tetra
学名Paracheirodon axelrodi (Schultz, 1956)
撮影:S.Goto(東京タワー水族館)
分布:ネグロ川
特徴:成魚の体長は約4cm。身体上半分の頭部から尾びれの付け根近くにかけてメタリックブルーのラインが入り、下半分は全体が赤色となる。ネオンテトラに酷似しているが、下腹部全体が赤く青帯より面積が広いこと、ネオンテトラに比べてやや大柄である点のみ(ネオンテトラは本種より1cmほど小さい)で区別できる。
メスの方がひと回り以上大きく成長する。当初はネオンテトラの亜種または一部変種と考えられていたが、1956年に正式に別種として区別された。
性格は比較的穏和であり、他魚ともさほどトラブルを起こすことはないため、混泳に適する。また、群れることを好むため飼育では群泳させたほうが、魚のストレス解消にも見た目にも良いが、本来カラシン目の魚は雑食性であり、群れの数が多いと、時として小さなサイズの他種や小型のエビなど突然集団で襲撃することもあるので、混泳水槽では同居させる種や数の比率に若干の注意を要する。
弱酸性の水質を好み、人工飼料でも問題なく育つなど、ネオンテトラやグローライトテトラなどと飼い方はおなじで、ネオンテトラより赤みが強く飼育が容易であるため、淡水熱帯魚の入門種とされるが、ネオンテトラと同じく繁殖は簡単でない。現在は季節を問わず、比較的廉価で入手可能な熱帯魚であるが、養殖が可能なネオンテトラと異なり現在も稚魚は原産地で自然捕獲されている。そのため廉価とは言っても単価はネオンテトラと比べてやや高価である。
改良品種として最近になって作出されたアルビノ個体(アルビノテトラ)が存在する。また、体に寄生したバクテリアの作用によって体が金属質の光沢を帯びる「プラチナカージナルテトラ」と呼ばれるものが存在する。このプラチナ化した個体は野生のカージナルテトラの中から見出されるが、1000匹に一匹とも言われる低い確率でしか見つからないために珍重される。カラシンの仲間の多くとデルモゲニー(こちらは多数のプラチナ固体が一般に販売される)と呼ばれる東南アジア産の淡水性のサヨリの仲間にこのような変異を起こした個体が見られる。
水草の茂みに産卵する。飼育するだけならば塩素中和した水道水で何ら支障はないが、繁殖を目指すならば彼らの生息場所である「ネグロ川」の水質(酸性の軟水)を普段からキープしなければならない。稚魚も小さく、繁殖レベルは上級。非常に広い範囲に生息する為、DNA分析では5種類ほどに分けられると言われているが、詳細は不明。本種のほかに「ショートライン・カージナルテトラ」と呼ばれるバリエーションがあるが、区別なく流通している。


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