500円硬貨の秘密


(2005/8/10 追記 テレプラス1.4xによる撮影を追加)
(2005/10/28 追記 テレプラス1.4x + エクステンションチューブEF25による撮影を追加)

某国の額面の数字は同じだがはるかに貨幣価値の低い硬貨とどういうわけか似ていたがために、簡単に偽造されてしまった500円硬貨。
しかし日本もいつまでも負けてはいないぞ。
現在の500円硬貨は、世界に誇る日本の工業の底力を見せつける偽造防止技術がてんこもりなのだ。

造幣局の「新500円貨幣を解剖する」というページで新500硬貨の偽造防止技術が紹介されているが、実はここに載っていないものがある。
それが、今から紹介する隠し文字だ。



これは新500円硬貨だが、実際の硬貨を用意して赤く囲んだ部分をよ〜く目を凝らして見てもらいたい。
おそらく、よっぽど目のいい人でもなにも見えないはずだ。

まずは表。桐の一部を拡大して見ると、ところどころに文字がある。



なんと、「NIPPON」と書いてあるのだ。
下に見える規則的に並んだ点が、上のページで「微細点」として紹介されているものだ。
文字の線の太さは、この微細点とほぼ同じ。
いかに小さな文字かということが分かると思う。

次に、裏を見てみよう。



これまた、「NIPPON」の文字がある。
横縞は「潜像」が仕込まれている部分だが、この縞と同じぐらいの幅の文字なのだ。
この縞でも相当細かいのだが、それよりさらに細かい文字が彫り込んであるのだから驚きである。

これなら確かに偽造は無理だろう。
だが、普通の人間の目に見えないのだから、偽造かどうか疑った場合にこれを見て判断することは非常に難しいのでは・・・・
ま、まあ、すごい技術なんだからよしとしよう。

ちなみに20Dの撮像素子のサイズは22.5x15.0mmなので、3504x2336ピクセルということは1ピクセルあたり約0.0064mmである。
そしてこの文字は幅が約24ピクセルなので、0.1536mm。なんと文字のサイズは約0.15mmしかないのだ。

なお、この拡大画像は EF-S60mmマクロでほぼ等倍の撮影をしてリサイズなしでトリミングしたものである。
人間の目に見えないものをここまで鮮明に写し出すマクロレンズとはなんと面白いレンズなのだろう。
などと言いつつ、マクロを3本も持つはめになっているのだった。



2005/8/10追記

ケンコーデジタルテレプラス 1.4x を手に入れたので、等倍を超える撮影に挑戦。
こちらはTAMRON90mmマクロだ。
レンズのピント位置は最近接、微妙なピント合わせはマクロスライダで行った。
より拡大されているのが分かるだろうか?

ここまで来たら、今度はエクステンションチューブも併用した超クローズアップ撮影もしてみたいものである。



2005/10/28追記

エクステンションチューブEF25(旧)を友人に借りたので、さっそく500円玉の接写に挑戦。
もちろん、ただ接写するだけではつまらないのでx1.4テレコン併用である。
結果はこの通り。
レンズはタムロン90mmF2.8、リサイズなしトリミングのみでこの解像度はなかなかのものではないだろうか?
ファインダーはやたらと暗く、ライトで直接照らしながらx2アングルファインダーで覗いてマクロスライダーで慎重にフォーカスするのだが、ピントは当然極薄なのでかなりつらい。
しかもカメラが垂直にぶら下がった形なのでマクロスライダーも動かしにくいのだ。






この状態で定規を撮ってみたところ、幅が11.2mmであった。センサの横幅が22.5mmだから、ちょうど2倍だ。
しかしこれなら、x2テレコンでも同じことなんじゃないか??
次はx2+x1.4+25mmリングなんてのを試してみたい。

ちなみに上の表面の写真は横幅が約4.6mmの範囲である。
これを21インチで1600x1200のモニタで見ると約35cmの幅に見える。
ということは、つまり76倍に拡大されていることになる。そろそろ顕微鏡の域に近づいてきた。




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